値入率ネイレリツとは? 計算方法や粗利率との違い
値入率とは仕入れた商品の利幅を考えて売価を決めるのが値入であり、それを百分率で割ったものが「値入率」です。(販売価格-仕入原価)÷販売価格×100=値入率(%)が計算法となります。
仕入れた商品が70円で30円の利幅をのせる場合、売値は100円となります。この時の値入は30円となり、計算式にあてはめると、(100-70)÷100×100=30% となるので、30%の「値入率」が見込めます。
「値入率」は販売前の見込みであるため、販売後の価格の変化やロスを含んだ「粗利率」を算出する必要があります。実際に販売した後には、廃棄や値下げといった商品のロスが発生する可能性があるからです。販売後のロスを想定して、利益を得られるよう「値入率」は設定されます。
「値入率」と「粗利率」
「値入率」は販売後に起こるであろう、売れ残りによる廃棄や値引きを考慮して設定する必要があります。
ロスが生じることなく常に完売すれば問題はないのですが、廃棄や値引きが生じた場合、販売後に「値入率」と「粗利率」のパーセントが異なってくるからです。
仕入れ値70円に、利幅30円として売値を100円とした場合「値入率」は
(100-70)÷100×100で、30%
となります。
しかし、これは商品を販売する前の「値入率」です。商品を販売後に設定される「粗利率」は売れ残りの値引きや廃棄といったロスを考慮して計算されます。「値入率」と「粗利率」は常に一緒ではないのです。
- 「値入率」は販売前
- 「粗利率」は販売後
に出されるものです。
販売の際、企業は「粗利率」がいくらか予算を組んで「値入率」を設定します。予定の「粗利率」を得るためにはロスを想定しつつ「値入率」を設定しなければなりません。
企業で予定している「粗利率」が30%以内であれば、この「値入率」で問題はありませんが、「粗利率」が40%だったら完全にマイナスとなります。
「値入率」は購入しやすい価格設定だけではなく、ロスが発生しても対応できるだけのパーセンテージで考える必要があるのです。
「値入率」の有効活用
安い原価での仕入れや販売後のロスを考慮した「値入率」は大切ですが、集客や販売拡大に「値入率」を有効活用した企業があります。
ダイエーは、あえて原価の高い肉の「値入率」を安くして原価同然にして集客のための目玉商品としました。肉以外の野菜や加工食品といった、肉とセットで購入されると思われる商品の「値入率」を高く設定して利益をあげたのです。
「高く仕入れて安く・高回転で売る」のウォルマートの「値入率」は17~18%です。日本のスーパーマーケットの「値入率」20~30%と比較するとかなり低い設定となります。
低い値入率・低利益は店舗の維持費用の削減・無理なディスカウントセール廃止・在庫のコントロールといった商品の高回転といった工夫に支えられているのです。
原価を安く、「値入率」を高くが「粗利率」を得る理想ではあり、各企業が常に様々な工夫を重ねています。売値は競合店との競争状況でコントロールはできますが、原価低減は取引先との交渉次第であり、ロスの実態と要因の検討も大切な工夫だといえます。
ただ値引きを提案するのではなく、仕入れ先との協業や直接仕入れ、相互メリットといった様々な提案を通して「値入率」の改善と有効活用は行われるべきなのです。
値入率のまとめ
企業が予定した「粗利率」を考慮して「値入率」は設定する必要があります。
ロス削減のために、仕入れの数や競合店との価格差を比較してコントロールも行えば「粗利率」を落とさない「値入率」は目指せるでしょう。
ただ、高い「値入率」にとらわれず仕入れ先との交渉や販売方法への工夫も大切です。
「値入率」を販売促進と捉えて薄利多売する企業も実際にはあり、成功例も見られます。手掛ける商品の特徴をしっかりと見極めれば、正しい「値入率」の設定も見えてくるはずです。
(この記事は2014年に掲載した記事を2015年と2022年に加筆修正更新したものです)
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